2007-04-01から1日間の記事一覧

アルゼンチンの香港飯 /ブエノスアイレス

トニー・レオンはいつでもどの映画でも、ひとり猫背で香港メシをかきこんでいる。ブエノスアイレスに来たってそうだ。ロードムービーになるかと思わせながらそうはならず、ウォン・カーウァイ(とクリストファー・ドイルのカメラ)はブエノスアイレスを接写…

重慶マンションから遠く離れて /「2046」

一人の女の記憶に囚われて、ゆるやかに自殺していく男の物語である。「哀しみの男」という美しい形容詞で語られるトニー・レオンは、ワタシ流に言えば「(二枚目で主役なのに)いつもしてやられる男」だ。そんなツイテない男の顔と佇まい、一人の映画俳優の…

ニコラス・ローグはこの処女作だけでいい。かも。 /「WALKABOUT」

オーストラリアの砂漠に放り出された14歳の英国人少女と幼い弟が、成人の儀式として放浪するアボリジニの少年に出会う。その地に生まれその地に還っていく者(少年)、旅人/通過者(少女)、そして彼らの“通訳者”(弟)との共感と齟齬に満ちた旅が寡黙に濃密…