可愛いだけじゃダメかしら /「プラダを着た悪魔」
ザ・OL映画。
That's all.
きっちり責任を負って本気で仕事をしている女性にはヌルイ映画だと思う。
ほどほどに真面目に働き、ほどほどに甘え、会社の愚痴に花を咲かせている女子を「もうちょっと頑張ろう!」と一瞬前向きにさせる…そのへん狙いですな。
予想に反してこの悪魔のような上司ミランダは部下を育てないんですの。背中で導くとか厳しいけど筋が通ってるとかではなく、理不尽な公私混同にもついてこられる者だけついてきなさい!方式。
悪魔に従うヒロインも元々優秀で努力家でかつモテ系だから(サポートを申し出る男性が沢山)、成長物語としてのカタルシスはあまり味わえないのよねー。
まあ、ヒロインのファッションが素敵だし、テンポもいいから楽しく見られます。
正しい役を正しく演じる重厚女優として全然そそらなかったメリル・ストリープを初めて好きになれたし。シリアスな演技より、これぐらいデフォルメの効いたエリート・ビッチ役の方が魅力的。
しかし最大の功労者は、およそ「ファッショナブル」「洗練」とは縁遠いタイプのアン・ハサウェイとメリルをあそこまで垢抜けさせたスタイリストのパトリシア・フィールドでしょうね。
◆[個人的思い出]
ちょっと昔。フランス版電通みたいな会社と仕事をしていた頃、パリのホテルのバーでミランダのモデルと言われるアナ・ウィンターを見かけました。日本のファッション誌にばんばか載りだす前だったけれど、女子力ならぬ「女史力」でかなり目を惹く人だったのは確か。 私と一緒にいたフランス人のおじさまが(彼はアナと顔見知り)「彼女は究極にエレガントだ、まがい物としては」ということを言っていたのが印象的。
(2006 11/27 飛行機内にて鑑賞)
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