女の子って、野太くて健気 /「フラガール」

映画見巧者の友人が「10年に一度の傑作」と書いていたので期待しすぎちゃったかも。
私の評価は「傑作ではなく佳作」。佳作と呼べる映画だってそうそう転がってはいないけど。

ウェールズ炭坑モノ映画”には何故か佳作が多いのだが(『リトル・ダンサー』や『フルモンティ』、古くは『わが谷は緑なりき』等々)、日本版も堂々仲間入りしたと言えるかな?


丁寧な時代考証による美術が見もので、昭和の炭鉱町の光景が(おそらく)リアルに再現されている。
その質実な仕事の中でちょっと浮いているのが安野ともこスタイリングによる松雪泰子のファッション。とても可愛いんだけど、(松雪嬢がモデル系美人ということを差し引いても)あれはどう見ても今時のオシャレ女子が60年代ヴィンテージでキメてみましたの図だ。映画会社のベテラン衣装さんに任せればよかったのに。


役者はみんな好演。いつだってアベレージ以上の岸部一徳は、更に突き抜けた名演を見せている。ちょっとトウのたったフラガールを演じた大人計画池津祥子もいい。

蒼井優が絶賛されているが、彼女の演技や“少女性”にはあまりフレッシュさを感じられなくて、それより友人・早苗役の徳永えりという女の子の初々しさに注目。彼女の「今まで生きてきた中で一番楽しかった!」(と、南海キャンディーズしずちゃんの「踊らせてくんちぇー」)にはグスグス泣きました。


松雪泰子のダンスが見事だったので、彼女のフラ衣装でのステージも見せてほしかったなぁ。
(2006 11/27)