色んな意味でプレゼン上手 /「不都合な真実」

もう政治の世界には戻らないと言っているアル・ゴアだが。これは(意図的なものか否かはさておいて)どう見ても彼のプロモーションビデオだ。

お供の者も連れず一人でキャリーケースを引きずりながら講演旅行を続ける姿が何度かインサートされ、“インディペンデントに草の根活動を展開する気骨ある男”を印象づけるあたり(意図的なものか否かはさておいて)なかなかウマイ。ゴアに1票!という気にさせる。


つまり、「ドキュメンタリー映画」というより「ゴアのプレゼンの録画」そのもの。わかりやすいパワポや画像映像を取り込んだプレゼンは説得力があるが、生々しい現地取材や様々な立場の人々へのインタヴューといった重層的構造が欠落しているのだ。


ゴアのプレゼンも映画の作りも「温暖化のもたらすダメージを知らなかった人」への啓蒙篇としてはよく出来ていると思うが、「わかっていながら利便性を捨てられない人」(私もだ)にアクションを起こさせるだけの喚起力があるかというと…。

この映画を見て、ショック療法のようなことがないと行動できない自分の弱さは再確認したが、今のところ私自身は“そこ止まり”だ。
(2007 1/23)

不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]