あなたはいつあなた自身になるのです /「マリー・アントワネット」
「少女」と書いて「マリー・アントワネット」とルビを振り「わたし(=ソフィア・コッポラ)」と読む、みたいな。
ソフィアって人は自分(=マリー)にしか興味が無いんだろうなぁ。だから脇にいい役者たちを配しながら、その全ての役を描き損ねている。
『ロスト・イン・トランスレーション』のパークハイアットがベルサイユ宮殿になっただけの私小説。
“パーティーガールの孤独”の描写、ふわふわのドレスで草の上を歩くシーンなどはスウィンギン・ロンドンな映画『ジョアンナ』の影響があるのかしら(ソフィア自身は『ダーリング』にインスパイアされたと言っているが)。
衣装や宮殿内の美術、甘いパステルカラーのお菓子は文句無しにロマンティックで美しいけれど。そしてオーストリアからフランスへの花嫁引渡しシーンとラストは悪くなかったけれど。
コスチュームプレイ×ロックという描き方は全然斬新じゃないし、「こういう取り合わせしかないのよ!」というソフィアの内なる必然性も感じられない。キルスティン・ダンストには底意地の悪い小間使い役あたりが適役だと思うし。
舌の上で甘く淡く消えて何も残らない、まさにマカロンのような映画。
(2007 2/28)
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