「Girly」と呼ばないで /「君とボクの虹色の世界」
ああ。とんちきなマスメディアのミスリードのせいで、こんな映画だとは思っていなかった。
「ポスト・ソフィア・コッポラ」とか「ガーリー・ムービー」というキャッチは商売上は有効なんだろうけど、監督&主演のミランダ・ジュライはソフィアよりずっと才能があるし、ガーリーうんざりな人にも見てほしい。
ちょっとヘンな人たちがフツーに淡々と展開するささやかな“事件”のおかしみ。ソフィアはマカロンのような甘くはかない色でマリー・アントワネットを描いたけれど、ミランダ・ジュライは同じような色を用いながら『ブルー・ベルベット』や『ゴースト・ワールド』的なサバーヴィアを創りだしてみせる。
白昼夢のように頼りないのにキラキラ眩しいその世界=カメラが心地よいのは私が遠視だからかも(遠視って光が屈折せずに入ってくるから眩しいのだ)。
5歳の男の子ロビーが出会い系チャットの相手と会うシーンは珠玉。全然関連性は無いけど、何故か『マグノリア』でエイミー・マンの曲を登場人物たちが“リレー”で歌う切なくも輝くような名シーン、あれを見た時と同様の、胸にぽっと小さな火が灯るような感動を覚えた。
「ガーリー」視点で言えば、ヒロインのファッションもさりながら、彼女の部屋の人間が線描されたピンクの壁が可愛い!
(2007 4/4)
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
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